きょうの為替動向と円キャリートレードの展望
両備システムズの鈴木恭輔氏によると、きょうのドル/円の予想レンジは160.20円~161.30円となっています。先週末に発表されたアメリカの雇用統計を背景に、アメリカの金利が低下しており、ドルの上値が重くなっています。今週11日に発表されるCPI(消費者物価指数)までは、方向感が出にくい展開が予想されます。この記事では、円キャリートレードの運用効率や今後の為替動向について詳しく解説します。
アメリカの雇用統計とドルの影響
雇用統計の概要
先週末に発表されたアメリカの雇用統計によると、非農業部門の雇用者数の増加が予想を上回り、平均時給の上昇率も見られましたが、全体としては伸びが減速しました。これにより、アメリカの金利が低下し、ドルの上値が重くなっています。
金利低下とドルの動向
アメリカの金利低下は、ドルの魅力を減少させる要因となり、ドル/円の上昇を抑制する結果となっています。今週11日に発表されるCPIまで、マーケットは様子見の姿勢を続けると予想され、ドルの大きな動きは期待しにくい状況です。
円キャリートレードの運用効率
キャリートレードとは
キャリートレードは、低金利通貨(円など)で資金を調達し、高金利通貨(ドルなど)に投資して利益を得る取引です。この取引の運用効率を測る指標として「シャープレシオ」が使用されます。シャープレシオは、リターンをリスクで割ったものであり、円キャリートレードの場合は、(外国金利−円金利)÷為替のボラティリティーで計算されます。
円キャリートレードの現状
FRB(連邦準備制度理事会)が「ハイヤーフォーロンガー」のスタンスを取っている中で、内外金利差が縮小するシナリオが現実味を帯びてきています。このシナリオにおいては、円キャリートレードの巻き戻しが起こり、円高への転換が予想されます。しかし、現在注目すべきは為替のボラティリティー上昇です。
為替のボラティリティーと今後の展望
為替のボラティリティー上昇
ドル円の予想変動率は急速に上昇しており、特に3月以降、円キャリートレードの運用効率は低下傾向にあります。これは、為替のボラティリティーが高まることで、リスクが増大しているためです。
今後の展開
投機勢が円キャリートレードを解消する動きは、11月のアメリカ大統領選挙前のタイミングで起こる可能性があります。また、日銀が9月の会合で追加利上げの可能性があることを考えると、10月には円キャリートレード解消の方向に転換する可能性があります。これにより、ドル円は年内に150円を割り込む可能性も射程圏内に入ってきます。
注目ポイント
CPI発表前の様子見
今週11日に発表されるCPI(消費者物価指数)は、為替市場に大きな影響を与える可能性があります。この発表までは、市場は様子見の姿勢を続け、ドルの動きに大きな変動は見られないと予想されます。
内外金利差と円高リスク
FRBがハイヤーフォーロンガーのスタンスを取り続ける中で、内外金利差の縮小が進むと、円キャリートレードの解消が進む可能性があります。これにより、円高リスクが高まることが予想されます。
結論
きょうのドル/円の予想レンジは160.20円~161.30円であり、先週末のアメリカ雇用統計を背景にドルの上値が重くなっています。今週11日に発表されるCPIまでの間、為替市場は様子見の展開が続くと予想されます。円キャリートレードの運用効率は低下傾向にあり、為替のボラティリティー上昇が注目ポイントとなっています。年内にはドル円が150円を割り込む可能性も視野に入れつつ、今後の動向に注目が必要です。