半導体の共同研究へ:日米企業が「後工程」で連合
はじめに
近年、半導体産業はその重要性を増しており、特に後工程と呼ばれるパッケージングの技術革新が注目されています。今回、化学メーカーのレゾナック(旧昭和電工)が日米の半導体素材や製造装置を扱う企業と共同で研究開発コンソーシアム「USジョイント」を米国シリコンバレーに設立することを発表しました。本記事では、このコンソーシアムの背景、目的、参加企業、そして半導体産業に与える影響について詳しく解説します。
コンソーシアム「USジョイント」の設立
レゾナックの役割と背景
レゾナックは、半導体を保護する黒色の樹脂や封止材で世界2位のシェアを持ち、後工程での素材に強みがあります。半導体の後工程とは、完成した半導体チップを保護し、接続部品として機能させるための一連のプロセスを指します。レゾナックは、この分野での技術革新を進めるために、日米の企業と連携してコンソーシアム「USジョイント」を設立することを決定しました。
シリコンバレーに拠点を構える意義
「USジョイント」は、テック企業が集まる米国のシリコンバレーに拠点を構えます。シリコンバレーは、最先端技術の研究開発が行われている場所として世界的に知られており、この地に拠点を構えることで、最新の半導体設計技術を迅速に取り入れることができます。レゾナックの阿部秀則業務執行役は、シリコンバレーに拠点を置くことの重要性について、「新しい技術ができたところに最初に採用された材料がデファクトスタンダードになるケースが多い」と説明しています。
参加企業とその役割
日米の主要企業
コンソーシアムには、レゾナックのほか、以下の企業が参加しています。
これらの企業は、それぞれの分野で高い技術力を持ち、半導体パッケージの最新コンセプトの検証において重要な役割を果たします。
共同研究の目的と内容
このコンソーシアムの目的は、次世代半導体パッケージの技術革新を図ることです。具体的には、クリーンルームの設置や半導体製造装置の導入などを行い、最新の半導体パッケージング技術を検証します。2025年の稼働開始を目標に、2024年から準備を始める予定です。
オープンイノベーションの重要性
阿部秀則氏は、会見で「一社単独では検証に限界がある中、ベストなソリューションを短期間で導き出すにはオープンイノベーションが必要」と述べました。異なる企業が協力し、各社の技術やノウハウを共有することで、より迅速かつ効果的に技術革新を進めることが可能となります。
半導体産業への影響
前工程から後工程へのシフト
半導体の進化において、前工程の微細化が限界に近づいていることが指摘されています。これに対し、後工程のパッケージング技術の重要性が増しています。今回の「USジョイント」の設立は、後工程の技術革新を加速させる一助となるでしょう。
国際競争力の強化
「USジョイント」は、日米の技術力を結集することで、半導体産業の国際競争力を強化する狙いがあります。特にシリコンバレーに拠点を置くことで、グローバルな視点での技術開発が可能となり、世界市場での競争力を高めることが期待されます。
まとめ
レゾナックを中心とした日米の半導体企業によるコンソーシアム「USジョイント」の設立は、半導体パッケージング技術の革新を目指す重要な取り組みです。シリコンバレーに拠点を置くことで、最先端の技術開発を迅速に行い、国際競争力を強化することが期待されます。オープンイノベーションの推進により、半導体産業の未来に向けた重要な一歩となるでしょう。