米財務省の金融包摂戦略と暗号資産
新たな金融包摂戦略の公開
最近、米財務省が発表した35ページの報告書が波紋を広げています。
そこには、金融システムへのアクセスを向上させるための新しい「金融包摂戦略」が記されていますが、暗号資産(仮想通貨)についてはその言及がたった1回だけという残念な結果に。
しかも、その内容は業界のリスクを指摘する文脈でのが研究開発の部分ですから、暗号資産がこれからの金融包摂に寄与する可能性が薄いという印象を持たざるを得ません。
政権内の微妙な温度差
注目すべきは、カマラ・ハリス副大統領の発言です。
彼女は選挙活動の中で、経済政策の一環として暗号資産を奨励すると述べているのですが、同政権の財務省が示す姿勢とは一見矛盾しているように見えます。
選挙が近づく中、最後の言及ともなり得るこの報告書で、デジタル資産への距離が強調されるとは驚きです。
金融包摂を考える際に、暗号資産はおそらく主要な選択肢ではないと結論付けられてしまったのかもしれません。
金融包摂の議論と暗号資産の役割
暗号資産の支持者は、これが金融システムへの参入障壁を低くし、多くの人々が簡単に利用できる手段であると主張しています。
しかし、国際送金において利便性が高まることが期待されるにもかかわらず、米財務省はそのメリットには目を向けていない様子です。
リベラル寄りの団体でも、暗号資産が金融包摂に与える影響に対して懐疑的な意見が多く、精査の必要性が強調されています。
ハリス副大統領とトランプ前大統領の対照的な姿勢
さらに興味深いのは、ハリス副大統領の立場です。
彼女の暗号資産に対する開放性と、財務省の新戦略との間には明らかな乖離があります。
一方で、トランプ前大統領は自身の選挙活動で強い暗号資産支持を表明しており、このギャップは選挙戦の戦略においても重要な要素となるでしょう。
このように、政治の場における暗号資産の扱いは、政権の方針や支持基盤によって大きく変わることがうかがえます。
今後の展望と暗号資産の未来
米財務省の新たな金融包摂戦略からは、暗号資産が重要な要素として認識されていないことが明確です。
それでも、暗号資産業界はその可能性を信じ、単なる議論の俎上に載せるだけでなく、実績を示していかなければなりません。
今後、どのようにこの状況が変わっていくのか、また暗号資産が金融包摂に寄与するための道筋がどう開かれていくのか、注視していく必要があります。