LIVE NY証券取引所 アメリカ小売り大手の好決算の背景と低所得層の消費動向に懸念
概要
ニューヨーク証券取引所から、明治安田アメリカの長谷川悠貴さんが最新の市場動向について解説しました。最近発表された消費者物価指数(CPI)のデータや、アメリカの主要小売企業であるウォルマートの好調な決算結果、さらに低所得層の消費動向について詳しく述べられました。本記事では、その内容を詳しく掘り下げて解説します。
CPIの発表と市場反応
インフレ再加速と追加利上げの懸念払しょく
最新のCPIデータの発表により、インフレの再加速や追加利上げに対する市場の懸念が和らぎました。このポジティブな流れを受けて、ニューヨーク証券取引所の主要3指数(ダウ平均、ナスダック総合指数、S&P500)は上昇し、最高値を更新しました。
利益確定売りの影響
午後に入ると、利益確定売りが出たことで上値は重くなり、S&P500は小幅にマイナスで引けました。この動きは、投資家が一時的な利益確定を行った結果と考えられます。
ウォルマートの好調な決算
調整後の1株利益と通期見通し
ウォルマートの2024年2-4月期決算は、調整後の1株利益が市場予想を上回りました。さらに、2025年1月期の通期見通しを上方修正し、これが株価の7%上昇につながりました。
オンライン売上と広告収入の増加
オンラインの売上高は、テンポピックアップとデリバリーの需要が好調で、前年比21%増加しました。さらに、オンラインサイト上での広告主が増加したことにより、広告収入も業績に大きく貢献しています。
既存店売上高の増加
ウォルマートの米国内事業の既存店売上高は、前年比3.8%増と市場予想を上回りました。平均客単価は前年比で横ばいでしたが、長引くインフレを背景に安価な商品の需要が増加した結果、高所得世帯の買い物が増え、客足が伸びました。
低所得層の消費動向に懸念
クレジットカード延滞率の上昇
ニューヨーク連銀の調査によると、2024年1-3月期のクレジットカード延滞率は前期から0.4ポイント上昇し、2011年以来の高水準に達しました。また、カード債務残高も過去最高水準に達しており、特にミレニアル世代やZ世代での延滞率が高いことから、低所得者層の経済状況が逼迫していることが示唆されています。
ローエンド製品、サービス提供企業への影響
経済全体の見通し
堅調な米国経済
一部では、アメリカ経済は依然として堅調であるとの声もあります。しかし、低所得層の消費動向に対する懸念が続く中で、経済の安定性を確保するためには引き続き注意が必要です。特に、クレジットカードの延滞率や消費者の債務状況に対する監視が重要となります。
今後の注目ポイント
今後の注目ポイントとしては、ターゲットやコストコなどの小売企業の決算が挙げられます。これらの企業がどのような業績を発表するか、またその背景にある消費動向や経済状況についての分析が重要です。