ガイアの夜明け小さな家電メーカー【シリウス】の挑戦：ニッポン家電を再び世界へ

はじめに

かつて、メード・イン・ジャパンの家電が世界を席巻した時代がありました。その時代から四半世紀が経ち、ニッチな家電市場で勝負をかける小さなメーカーが注目されています。東京・台東区にある家電メーカー「シリウス」は、わずか17名の中小企業ながら、独自の道を切り開き、世界に挑戦しています。本記事では、シリウス社長・亀井隆平さんの奮闘や、新製品の開発に密着し、ニッポン家電の復活を目指す取り組みについて紹介します。

シリウスの挑戦

1. 小さなメーカーが作る「ニッチな家電」

シリウスは、東京・台東区の雑居ビルにオフィスを構える家電メーカーで、社員数は17名。社長の亀井隆平さんは、かつて三洋電機で数々の製品開発に携わった経験を持ちます。「今ないものを作る」という理念を掲げ、大手にはない独自の戦略でヒット商品を生み出してきました。

会社名：シリウス
所在地：東京都台東区
社員数：17名
社長：亀井隆平さん（59歳）

2. 三洋電機からシリウスへ

亀井隆平さんは、三洋電機の元社員で、強い愛社精神を持っていました。三洋電機は2011年にパナソニックの完全子会社となり、消滅しましたが、亀井さんはそのものづくりの精神を引き継いでいます。彼は、大手の後継会社ではなく、小さな会社であえて挑戦し続けています。

三洋電機の精神：今ないものを作り、ニッチ市場を開拓する。
愛社精神：三洋時代の製品をオフィスに飾り、ものづくりへの情熱を絶やさない。

3. ヒット商品「スイトル」

シリウスが手掛けたヒット商品の一つが、「スイトル」という水洗いができるクリーナーです。少量の水で汚れを落とすことができ、掃除の新たなスタイルを提案しました。水を噴射すると同時に吸い取ることで、少ない水で効率的に汚れを除去する技術は、多くの消費者に支持されています。

商品名：スイトル
機能：水を噴射しながら吸い取るクリーナー
特徴：少量の水で効率的に汚れを除去

新たな挑戦：スイトルボディの開発

1. 「ブルーオーシャン」への挑戦

シリウスは、介護市場に向けた新製品「スイトルボディ」の開発に取り組んでいます。これは、ベッドで洗身できるシャワーで、寝たきりの人でも簡単に洗身ができる画期的な製品です。介護の現場では、人手不足が深刻化しており、亀井さんはこの製品で介護の「困った」を解決し、新たな市場を開拓しようとしています。

新製品：スイトルボディ
機能：ベッドで洗身できるシャワー
ターゲット：寝たきりの人、介護施設、在宅介護

2. 介護現場での実証実験

千葉県の介護施設で「スイトルボディ」の実証実験が行われました。従来の入浴介護では3人がかりで行っていた作業が、「スイトルボディ」を使うことで1人で完了します。シャワーヘッドを肌に密着させると、お湯が噴射され、同時に汚れが吸い取られます。ボタンの切り替えでお湯とボディソープが交互に出るため、効率的に全身を洗うことができます。

実証場所：千葉県の介護施設
機能：シャワーヘッドからお湯とボディソープが交互に出る
効果：1人で全身の洗身が可能

3. 在宅介護への対応

「スイトルボディ」は、在宅で寝たきりの人にも対応しています。訪問介護では、サービスは1回1万円以上と高額で、介護保険適用でも週1回が限界です。亀井さんは、家庭でも簡単に使える「スイトルボディ」で、介護の負担を軽減し、社会に貢献することを目指しています。

ターゲット：在宅介護の家庭
課題：訪問介護のコストと頻度の問題
目標：介護の負担を軽減し、社会貢献

4. 海外市場への進出

亀井さんは、アジアの成長国であるベトナム市場にも目を向けています。ベトナムの病院や介護施設で「スイトルボディ」の普及を目指し、現地の関係者に製品を紹介しました。しかし、現地での実演では、機械に不具合が発生し、改良が必要とされる課題も浮上しました。

進出先：ベトナム
ターゲット：病院、介護施設、介護士教育機関
課題：現地での不具合と改良の必要性

人材育成と次世代への継承

1. 出張授業での人材育成

亀井さんは、ものづくりの精神を次世代に継承するため、積極的に人材育成に取り組んでいます。高校での出張授業では、かつての三洋製品を見せながら、ニッポンのものづくりの歴史や魅力を語ります。この活動を通じて、興味を持った学生たちが卒業後にシリウスに就職し、現在も3名の若者が働いています。

活動：出張授業
対象：高校生
目的：ものづくりの精神の継承と人材育成

2. 若者たちの奮闘

シリウスに就職した若者たちは、亀井さんと共に営業や製品開発に励んでいます。営業担当の志田さんは、「背負っている感がある。きちんと伝えていきたい」と語り、亀井さんの情熱とものづくりの精神を次世代に伝える役割を果たしています。

若者の声：「背負っている感がある。きちんと伝えていきたい」（志田さん）
役割：営業や製品開発を通じた学びと成長

まとめ

シリウスは、小さな家電メーカーとして、ニッチな市場に挑戦し続けています。三洋電機の精神を受け継ぎ、「今ないものを作る」という方針でヒット商品を生み出してきました。新製品「スイトルボディ」は、介護市場のブルーオーシャンを狙い、介護の負担を軽減し、新たな市場を創設することを目指しています。また、人材育成にも積極的に取り組み、ものづくりの精神を次世代に伝えることで、ニッポン家電の復活を目指しています。シリウスの挑戦は、メード・イン・ジャパンの家電が再び世界に羽ばたくための希望を示しています。