焼肉きんぐの成功の秘密:他業態の模倣と「明言会議」で業界No.1に
はじめに
2023年6月期で年商約770億円を達成し、焼肉チェーン業界で売上1位となった「焼肉きんぐ」。その成功の裏には、他業態の優れたアイデアを積極的に取り入れる戦略と、物語コーポレーション独自の「明言会議」があります。この記事では、焼肉きんぐの快進撃を支える具体的な戦略と取り組みについて詳しく紹介します。
焼肉きんぐの特徴
食べ放題制
焼肉きんぐの最大の特徴は、食べ放題制です。最も人気のある「きんぐコース」では、約130種類のメニューが100分間食べ放題で3498円というリーズナブルな価格設定になっています。これにより、多くのファミリー層や若者に支持されています。
ロードサイド店舗展開
数年前まで、焼肉チェーンは駅前や繁華街に集中していましたが、焼肉きんぐはファミリーレストランのようにロードサイドに店舗を展開することで、ファミリー客をターゲットにしました。郊外ではライバルも少なく、土地代も安いため、大型店舗の出店が可能になりました。この戦略により、10年で200店舗も増やすことに成功しました。
タッチパネル式注文システム
焼肉きんぐは、2009年にタッチパネル式注文システムを導入しました。これは、カラオケ業界で既に採用されていたシステムを模倣したもので、店員は料理を提供することに集中できるため、人件費の削減が可能になりました。その結果、コスト削減分を原材料に投資し、美味しいお肉を提供することができるようになりました。
おせっかいマスターの存在
焼肉きんぐの店舗には「おせっかいマスター」という役割を持つ店員がいます。彼らは客席に目を光らせ、必要に応じて焼き方を教えたり、代わりに焼いてくれるサービスを提供します。このサービスは、物語コーポレーションが愛知県で営んでいたおでん屋の「おせっかいサービス」を模倣したものです。
季節ごとのフェアメニュー
焼肉きんぐでは、季節ごとにテーマを決めたフェアメニューを実施しています。焼肉屋は同じメニューが続くことが多いため、季節感を出すのが難しいですが、ファミリーレストランのようにフェアメニューを取り入れることで、顧客が飽きない工夫をしています。
物語コーポレーションの社風:「明言会議」
焼肉きんぐが他の焼肉チェーンとは異なる新しいことを次々と実施できる理由の一つに、物語コーポレーションの「明言会議」があります。
明言のすすめ
物語コーポレーションでは、社内の至る所に「明言のすすめ」が掲示されています。会議の前には参加者全員で明言のすすめを唱和し、会議を開始します。これは、社員が自由に意見を言い合える環境を作るための取り組みです。
プロフェッショナル精神の育成
社員が言いたいことを明言するためには、プロフェッショナルになることが求められます。日々の行動習慣を通じてプロフェッショナルを目指すことが、社員一人ひとりの成長と、新しいサービスの創出につながっています。
まとめ
焼肉きんぐの成功は、他業態の優れたアイデアを積極的に取り入れる戦略と、物語コーポレーションの「明言会議」による自由な意見交換の文化に支えられています。これらの取り組みにより、焼肉きんぐは業界No.1の地位を築き上げました。今後も、新しいアイデアとサービスを次々と生み出し、さらなる成長を続けることでしょう。